カスタム用語集Vol.4~「純正流用」……あれ!? このパーツが愛車についた!

愛車にカスタムを施す際、アフターパーツメーカーの商品を取り付けるしかないと思っている方が多いようです。しかし、今ほどカスタムパーツが豊富でなかった頃から定番だった手法がありました。それが「純正流用」です。

同一メーカー内でフレームやエンジンの共用が多かった

 カスタムの手法に「純正流用」というものがあります。一般的に「カスタムをする」というと、アフターパーツメーカーのパーツを装着したり、ワンオフで自分だけのパーツを作ったりすることを思い浮かべるでしょう。つまり、純正パーツとは異なる社外パーツを取り付けるということです。

ホンダ「ダックス125」のシーソーペダルはちょっとした加工で「モンキー125」に装着できるようです。靴を汚さず、気軽にモンキーに乗りたいというライダーに人気のカスタムです
ホンダ「ダックス125」のシーソーペダルはちょっとした加工で「モンキー125」に装着できるようです。靴を汚さず、気軽にモンキーに乗りたいというライダーに人気のカスタムです

 しかし、純正流用では社外パーツは使いません。そう、その名前の通り、純正パーツを使うのです。「そんなことができるのか!?」とお思いの方もいるでしょうが、これが意外とできてしまうのです。

 同一メーカーであれば、違う車種でもフレームやエンジンを共用していることが良くあります。最近では、ホンダ「ダックス125」のシーソーペダルを同じくホンダの「モンキー125」のシフトペダルとして流用することが人気です。

 昔は今よりもフレームやエンジンを共用していることが多く、またアフターパーツが少なかったこともあり、より盛んに行われていたようです。

 たとえば同一エンジンで、車種によってアップマフラーとダウンマフラーで異なる場合、ステーを自作してアップマフラー化したり、ダウンマフラー化したりすることも。

 また、ヤマハの2スト絶版車「RZ250」と「RZ350」、2021年をもって生産を中止した「SR400」と「SR500」のように、ほぼ同一の車体を持っている場合はエンジンやクランクを交換するという大掛かりなカスタムをすることもありました。

 ただし、RZの場合は350だと車両区分が変わりますし、SRは500にすると大型二輪免許が必要ですので、実際に行う場合は注意が必要です。

 また、たとえば同一車種で年式違いの外装に載せ替えるのも立派なカスタムですし、これも純正流用と言えるでしょう。ネットオークションなどで購入した限定モデルの外装をスタンダードモデルの愛車に装着することで、特別感がアップします。

原型をほとんど留めていませんが、こちらもヤマハ「SR400」をベースにしたカスタムです。トップブリッジやフロントフォーク、スイングアームなどの足周りはすべてホンダ「NSR250R」に換装されています。製作したのは愛知県のカスタムショップ「フレークス」
原型をほとんど留めていませんが、こちらもヤマハ「SR400」をベースにしたカスタムです。トップブリッジやフロントフォーク、スイングアームなどの足周りはすべてホンダ「NSR250R」に換装されています。製作したのは愛知県のカスタムショップ「フレークス」

加工技術で他車種のパーツを装着

 ここまでは比較的やりやすい純正流用ですが、中には大掛かりな純正流用もあります。

 ヤマハ「SR400」の足周りに「XJR400」やホンダ「NSR250R」などの純正パーツを装着することは、長年定番の手法でした。定番というと簡単につきそうですが、もちろんそんなわけはなく……専門のカスタムショップによって加工を施して装着するのです。

 もちろん、ただ装着しただけではバランスが悪くて、まともには走りません。専門ショップの技術と経験によって可能なカスタムと言えるでしょう。

 年式違いの外装交換から、エンジンチューニング、果ては他車種流用まで……ひとくちに「純正流用」と言ってもその内容はさまざまなのです。

【画像】純正流用の一例を画像で見る(3枚)

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Writer: 佐賀山敏行

カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。

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