バイクのドライブベルトってどんなもの？

　MT仕様のバイクの多くでは、エンジンの回転をリアタイヤに伝える「ドライブチェーン」と呼ばれるパーツが使用されています。
　
　ドライブチェーンは車体が前に進むためになくてはならないパーツで、多くの車種が車両の左側の目に見える位置に搭載しています。

　しかし、スクータータイプの車両の左側を見ても、ドライブチェーンはついていません。

　スクーターの場合は、外から見えない場所にドライブチェーンと同じ機能を持つ「ドライブベルト」（Vベルト）と呼ばれるパーツが備えられています。

　ドライブベルトは主にスクーターに採用されているパーツで、MT仕様のバイクでいうドライブチェーンと似たような役割を持ち、エンジンの回転をリアタイヤに伝えるパーツを指します。

　　一般的にスクーターには「CVT」という無段変速方式が用いられていますが、同機構ではエンジンの回転数を上げると変速機のなかの「プーリー」（プライマリーシーブ）が回転し、その遠心力によってプーリー内の内側にあったウエイトローラーが外側に移動すすことでプーリーが開き、それを受けてドライブベルトの回る位置が変わり、変速が行われます。

　ドライブチェーンとの大きな違いは素材で、ドライブチェーンは金属製ですが、ドライブベルトはゴムやナイロン、化学繊維などを加工して作られています。

　チェーンに比べ軽量で柔らかいのが特徴で、静粛性に優れている点も大きな特徴。なおごく少数ではありますが、静粛性を重視して、チェーンの代わりにベルトを採用しているモデルも存在します。

　またドライブチェーンの場合はチェーンの調整やチェーンオイルの注油など定期的にメンテナンスが必要ですが、基本的にこうしたメンテナンスを行わなくてよいのもドライブベルトのメリットといえます。

　一方で、主にゴムでできているドライブベルトは、高熱や高回転などの過酷な状況にさらされているため、摩耗や劣化が起こりやすく、適切な時期に交換することが重要です。

　ではドライブベルトは、どれくらいの目安で交換すればよいのでしょうか。

　交換時期はバイクの使用状況や車種、排気量にもよりますが、1万kmから2万kmと言われていますが、モデルによってサイクルは異なるため、正確な交換時期は愛車の取扱説明書を確認するとよいでしょう。

　交換時期を過ぎて使用していると、ベルトの摩耗が原因でスピードが出なくなるなどの症状が現れます。

　激しく摩耗したベルトは耐久性も落ちるので、ベルトが切れて走行不能となってしまうこともありますが、ベルトが切れる前兆は分かりづらく、突然切れてしまうことが多いので注意してください。

　さらに運が悪いと、ベルトが切れてしまった際の衝撃や切れたベルトが駆動パーツに絡まるなど、ベルト以外のパーツも損傷し、高額な修理が必要になってしまう事も考えられます。

　また、ミッションとリアホイールの間にベルトドライブを採用するモデルでは、ベルト切れの際にリアのプーリーなどにベルトが絡まってしまいホイールがロックしてしまったという事例もあるので、決められた時期に交換し、事故や大規模な修理を未然に防ぐようにしましょう。

　ちなみに、ドライブベルトはほとんどのスクーターの左側に配置されているので、車両左後方に付いている「クランクケースカバー」を取り外すことによって、確認することが可能。整備方法についてはサービスマニュアルなどを確認するか、専門店へ相談するようにしましょう。