【インタビュー】未来の世代のために。電動バイクレース『E-Xplorer』プロモーターが掲げる3つのコンセプト
電動バイクであることは、必然なことだった
──では、E-Xplorerが電動バイクで争われる選手権であるのはなぜですか?
「とてもシンプルです。いまは2024年で、新しい時代に入っています。私たちは、サスティナビリティを切望するところに来ているのです。私たちが生きる世界のことを考えなければなりません」

「わたしには2人の子供がいます。子供たちは10年後にこう言うでしょう。『ママ、何をしたの?』って。私たちは環境のことを考えることをせずに、燃料をずっと燃やし続けることはできないのです。
バイクは世界で最も使われている乗りものです。このチャンピオンシップを通してサスティナビリティを促進し、グリーン・エネルギーを促進することはいたって普通のことです。そして、それがクールであると示すこともね」
──E-Xplorerは、電動バイクによる「オフロードレース」なのでしょうか?
「オフロードではありません。オール・テレイン(all-terrain)です。電動バイクですので、世界中のどこでも、わたしたちが望めばその場所でレースができます。
例えば、スイスでは山頂で行ないますし、ノルウェーでは市街地の真ん中で行ないます。オフロードだけである必要はなく、また、騒音などのために都心から何マイルも離れたコースでだけ開催する必要もないのです」
「私たちは公園の中でレースを開催することができます。何かにダメージを与えることもなく、自然や人々、子供たちの邪魔になることもなくね。今日、どれほどの子供たちが来ていたのかご存じでしょうか。子供たちはレースを楽しんでいました。内燃エンジンは、大きな音がありますから……」
──子供たちにモータースポーツがどれほどエキサイティングかを知ってもらいたい、ということなのですね。
「その通りです。それもまたサスティナブルであり、男の子だけではなく、女の子にも同じように開かれているのです。『(Team HRCから参戦していた)フランチェスカ・ノチェラのようになりたい』と思うような子供にね」

「昨年、こんなエピソードがありました。キアラ・フォンタネージという女性ライダーがフランスで優勝して、たぶん10人くらいの女の子だったと思うのですが、キアラの後を追いかけて、母親にこう言ったんです。『マミー、わたし、キアラみたいになりたい!』って! これが新しい世代のためにしている、最もやりがいのあることなんです」
──今回のように、市街地でE-Xplorerを開催する主な目的というのは……。
「若い家族、それからモータースポーツファンの間で、できるだけ多くの注目を集めたいと考えていました。通常のレースなら、1日かけて都市部を出て行くことになりますよね。ここは土曜日に開催される屋外イベントで、美味しいランチも楽しめます。子供たちは広場で遊んだりしながら、素晴らしいレースやヒーローたちを見られるのです」

「私たちの主なターゲットは、若い家族や、モータースポーツをもっと知りたいと考えている人たちです。つまり、新しい世代にかかわる若い家族や人たち、ということです」
「(E-Xplorerは)未来のスポーツでもあり、現在のスポーツでもあります。前を向く必要があるのです。そして、内燃エンジンによる選手権などと密接な取り組みをしていかねばならないでしょう。最終的には、みんなで前進していかなくてはいけないからです。これが、私たちの計画です」

──今後、E-Xplorerをどのような選手権に育てたいですか?
「第1に、さらに多くのマニュファクチャラーが参入するようになることです。これは技術の向上とさらなる革新が可能になるということです。第2に、世界中のさらなる都市や地域でのレースを展開したいと考えています。そうすることで、より多くの注目を集めることができるでしょう」
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インタビューを通して、E-Xplorerがポジティブな未来を目指したレースであるということが伝わってきました。なかでもモータースポーツの継承という部分においては、E-Xplorer大阪大会の現地で触れたところでもありました。
小さな子供を連れた家族がピクニックのように芝生席で過ごしていたり、この大会を全く知らずに公園内で通りがかった、やはり若い家族が、足を止めてライダーの走りを見ていたシーンがあったからです。新しい層が新しいかたちでレースを楽しめる可能性を感じました。
電動バイクによって争われるE-Xplorerは、モータースポーツの新しい可能性のひとつを提案している、と言えるのかもしれません。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。










