カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」「Z2E」はカムチェーン周りのコンディションに注意! 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.5

メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在なのがカワサキZ1/Z2シリーズです。長年、バイク仲間の知り合いが所有し続けてきた1975年式の国内モデル、750RS(RSはロードスターの略称)を購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。

初代カワサキ空冷Zの頑丈さを支えたカムチェーン周りの構造

 カワサキの初代空冷4気筒エンジン「Z1E」と「Z2E」ユニットは、とにかく頑丈なエンジンとして認識されています。それは2代目空冷4気筒エンジンのザッパー系(ゼファー750シリーズへと継承されました)や3台目のミドル系=Z400FX系のエンジンと比べても、明らかに頑丈設計との声が大きいです。

車検残りが1年近くあったので、まずは現状車体とエンジンのコンディションを知るために、各部を点検調整しながら試運転を繰り返してみました
車検残りが1年近くあったので、まずは現状車体とエンジンのコンディションを知るために、各部を点検調整しながら試運転を繰り返してみました

 しかし、その頑丈さを過信してしまうことで、今度は「取り返しのつかないトラブル」に発展してしまう可能性があることも、知っておかなくてはいけません。初代モデルの登場から50年以上が経過しているので、今現在、どんなに調子良く走っている初代シリーズエンジンでも、過去にエンジン腰上のオーバーホール実績が無い個体の場合は、要注意と言うこともできます。特に、注意しなくてはいけないのが「カムチェーン周辺」を構成する、各種部品のコンディションになります。

 特に多いのが、アイドルギヤ系の「ゴムダンパー抜け」、長年の利用でゴムダンパーが劣化して、アイドルギヤの軸芯がズッコケてしまうことが多いようです。

 過去にはこんなこともありました。コンディションが良く気持ち良く走っていたエンジン腰上を分解したときのお話しです。分解理由は「排気量アップ=ボアアップ」実践でした。ベテランメカニックの手によりエンジン腰上を分解すると、カムチェーンテンショナーのアイドルギヤが、軸芯から横にズレていることに気が付きました(チェーンラインがズレて重大なトラブルに繋がります)。分解するついでに、カムチェーン周りの部品は、すべて新品部品を準備していたので作業はスムーズに進行しました。

Z2のカムチェーンとその周辺を構成するパーツレイアウト。初代空冷Zシリーズのカムチェーン周りは至極頑丈な作りですが、ダンパーゴムの焼き付けによって軸心に固定されている各ギヤ型アイドラーは、ダンパーが劣化してちぎれてしまうことでチェーンラインが狂うことも
Z2のカムチェーンとその周辺を構成するパーツレイアウト。初代空冷Zシリーズのカムチェーン周りは至極頑丈な作りですが、ダンパーゴムの焼き付けによって軸心に固定されている各ギヤ型アイドラーは、ダンパーが劣化してちぎれてしまうことでチェーンラインが狂うことも

 ボアアップ後もエンジンは絶好調で、これまで以上にパワフルなエンジンへと変化しました。オーナーさんによれば、これまで以上の加速力を楽しめて大満足だそう。作業を担当したベテランメカニックからお話しを伺うと、初代4気筒シリーズのエンジンは、このカムチェーン周りに鬼門があるそうです。

 今回は、ボアアップ作業の分解ついでに、あらかじめカムチェーンテンショナーを始め、周辺の関連部品をすべて用意していたので問題は無かったそうです。ボアアップに気を取られてしまい、カムチェーン関連部品に目が行かなかった結果、作業完了直後は気持ち良く走ってくれていたものの、早々にメカニカルノイズが出てしまい……。結果的には、もう一度、エンジン分解しなくてはいけない事態もあるそうです。

【画像】頑丈な初代空冷Zシリーズ・エンジンの泣き所!? カムチェーン周りの摩耗事例を画像とともに解説!(12枚)

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