カワサキ「Z2」旧車の鬼門は、怖いのはやはり電気系 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.15
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。旧車にとっては、ある意味鬼門と呼べるのが電気系のコンディション。調子良く走れるからと、そのままで良いとは限らないのが、電気系の中でもメインハーネスやその周辺パーツだと思います。転ばぬ先の杖として、メインハーネスを交換することにしました。
旧車の電装部品は、何が起こっても不思議ではない
旧車を走らせていて、コンビニやドライブインへ立ち寄ると、その場に居合わせたライダーから問われる内容の中で、特に多いのが「電気系は大丈夫ですか!?」といった質問です。確かに、電気に弱いのが旧車だと思います。とはいえ、単純かつシンプルだからこそ、予備予防メンテナンスしやすいのも旧車の特徴です。旧車を購入したときには、なるべく早いうちにコンディションを把握し、状況に応じて、確実に対処しておきたいのが電気系部品だと思います。

特に、人間でいうところの「血管や神経」と同じ働きをしているのが、バイクにとっての「メインハーネス」だと言えます。経年変化や劣化によって、時に導通不良を起こしてしまい、本来の機能を果たせなくなってしまうこともあります。

特定箇所が完全に切れてしまうのならまだしも(完全な断線ならテスターで同通チェックすれば原因を素早く突き止めることができます)、「切れたり導通したり」が不定期的に繰り返される厄介な症状になると、そんなトラブルの根源を発見するまでに時間が掛かり、とにかく大変なことになってしまいます。

例えば、走行中に突然エンジンストップしてしまうことがあります。「あれっ!? まいったな……」と路肩に停車。右往左往しているうちに、気が付くと何事も無かったかのようにエンジン始動? その後は、普段と何ひとつ変わらず走れてしまうようなケース、ありますよね。

そんなトラブルに遭遇した時には、電気系の接触不良やハーネス内部の断線も考えられます。また、熱を持つことでコンディションが低下してしまう部品もあります。例えば、イグニッションコイルやポイントのコンデンサなども、疑うべき部品と言えます。いすれにしても、徹底的な確認点検作業が必要になのは言うまでもありません。
単純なカプラの抜き差しだけでも予防メンテナンスになる!?
ヘッドライト本体を取り外し、ライトケース内部の状況を確認してみるのも良いことです。それだけでもトラブル予防になります。

配線のコネクターカプラが抜けかかっていたり、ギボシ端子が腐食によって導通不良を起こしているケースも珍しくありません。
サイドカバーの内側やシート下も要注意ポイントと言えます。フューズ関連カプラやレギュレータ関係カプラを引き抜くと、樹脂製カプラが焼けて変形変色していたり、明らかにハーネス被服が溶けていることもあります。そのような状況を目の当たりにしたら、腰を据えた本格的な点検&メンテナンスが必要不可欠です。時には、メインキー本体の内部基盤内でハンダが落ち、ハーネスがショートししまうこともあります。そんなトラブル時には、メインキーをONにするのと同時に、フューズが飛んでしまいます。ぼくが過去にメンテナンスした車両には、そのようなトラブルが何度もありました。
部分的な修復が可能な箇所なら良いですが、特に、充電系やヘッドライト系のような大電流が流れるハーネスの場合は、保護チューブ内部のハーネス被服が焼け溶け、周囲のハーネスにダメージを与えているケースも珍しくありません。特に、電気的なモディファイ=改造を施しているカスタムマシンなどは、各部が正常に作動し、各カプラの接続部分や露出したハーネス被服に焼けや溶けなどが発生していないか!? 必ず確認しましょう。

750RS/Z2用に、ここではカワサキZ1用のドレミコレクション製メインハーネスを購入しました。国内Z2用と比べると操作仕様に違いは無く、ヘッドライト系は、ディマスイッチの結線で派生仕様を変更しているようなので、そのまま使えることがわかりました。
ここでは、メインハーネスのみ交換しましたが(ジェネレータハーネスはすでに自作部品へと交換済み)、将来的には、メーターインジケータハーネスも交換したいと思います。ちなみにメーター用サブハーネスは、Z1用に対してZ2用には速度警告灯信号線(茶線に黄色線)が追加されているので、交換時には、同色配線を新規追加することで国内仕様メーターに対応することができるようです。
電装系部品を含めて「当時物部品」にこだわる旧車ファンが数多くいますが、電装部品は経年劣化で何が起こるかわかりません。大切な部品なら、敢えて取り外して保管し、高品質な新品部品や複製部品に交換することをお勧めします。そのほうが間違いなく気持ち良く走れるとぼくは思います。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。







