絶景への挑戦!? 自転車で異国の地「天空の山岳道路」を走破する
自転車でタイ北部のチェンライに広がる「天空の山岳道路」を走破します。タイとラオスの国境、標高1600mを超える稜線の直下に延びる道は、自転車好きにはたまらない絶景ルートです。道中で立ち寄りたいスポットも紹介します。
日本には無い、国境付近の山岳道路を走る
自転車で異国の地をサイクリング。タイ北部チェンライ県の東端には、標高1600mを超えるピパンナム山脈の稜線が連なり、ラオスとの国境を形成しています。このタイ側の山肌を縫うように走るのが、絶景の山岳道路「R1093」です。標高900m以上の区間が約50kmも続くこの道路に平坦路は皆無。上りと下りが連続する、非常に厳しいコースです。

ライドの拠点として便利なのは、チェンライ県トゥーン、またはパヤオ県チェンカムの町です。中でもオススメの宿が、トゥーンにある日本人オーナーの宿「ナーソンリゾート」です。長い間、日本を代表する自転車選手たちもここを拠点に合宿を行なっています。
オリンピック選手や全日本チャンピオンをたくさん生み出した山岳道路。自転車好きなら、一度は挑戦してみたい特別な道です。
オススメは「R1093」を最初から最後まで楽しみ尽くす「ナムトック」ルートです。
起点となるのは「プーサーン国立公園」の「ナムトック」(タイ語で「滝」の意味)で、ここは温泉が流れる珍しい滝です。33~35℃の温水が流れるこの場所から、R1093を登り続けて最高標高地点の「バン・パータン(パータン村)」まで走ります。
このルートの特徴は、距離をかけてじっくり標高を上げること。繰り返し現れる勾配区間を乗り越えていくと、気づけば標高は1000mを超え、左手に大パノラマが広がります。この絶景はアップダウンを繰り返しながら、フィニッシュまで何度も何度も目の前に現れます。
ナムトックからバン・パータンまでは65km、獲得標高は1800mです。15%を超えるような激坂はないものの、累計1000m近い下りを含み、大きな登り返しが連続するタフなコースです。オーバーペースに注意し、着実にフィニッシュを目指しましょう。
ナーソンリゾートを拠点とすると、片道約85kmです。最初の20kmは平坦基調になります。山岳道路にも補給できる商店やカフェはいくつもあるものの、念のため補給食を携帯しておくと安心です。
また、近年はタイでも豪雨災害が多く、路面が荒れているところも見られるため、パンク修理道具などトラブルに対応できる装備も忘れずに持っていきましょう。
バリエーションルートを組み込めば、厳しいコース設定も可能
山岳道路「R1093」と並行して、より低い標高で西側を走る「R1155」があります。この2本の道の間には数々の激坂ヒルクライムコースが存在します。10%超えは当たり前、場所によっては15%を超える急勾配が連続するコースもあり、日本では味わえない、ハードな登坂に挑戦したい人は、バリエーションルートを選ぶのもいいでしょう。また、「R1155」自体も標高は低いものの、強烈なアップダウンの連続です。覚悟して臨みましょう。

ここで代表的なバリエーションルートを紹介します。
「プチファー」ルートは、山岳道路沿いの景勝地「プチファー」展望台へ直登するルートです。平均勾配10%超えの激坂を5km以上登る厳しいルートです。
「R4029」ルートは、フィニッシュとなるバン・パータンへ直登するルートです。距離10km、平均勾配8%の激坂が待ち受ける、この山塊でも最もボリュームのあるヒルクライムコースです。
これらのルートを組み合わせればたくさんのコースを設定できるのも、このエリアの魅力です。自身の脚力と相談しながら、自分だけのヒルクライムチャレンジを楽しむことができます。
忘れちゃいけないグルメスポット、「バーンディン」(万頭屋)
せっかくこの山岳道路を走るのであれば、見逃せない立ち寄りスポットを紹介します。バン・パータンの集落にある中国系のレストランです。

オススメは、万頭(まんとう:餡の入っていない中国風蒸しパン)と、甘辛く煮込んだ豚足の組み合わせです。万頭に豚足を挟んだり、汁に浸して食べるのが最高の楽しみ方。山岳道路を走破した後に食べるこの一皿は格別です。
この山岳エリアには、漢字を目にすることも多くあるくらいに、中国系の人たちがたくさん住んでいるので、美味しい中国系の料理を食べることができるのも納得です。
山岳道路のフィニッシュ地点バン・パータンには、実はまだ続きがあります。さらに2kmの激坂を自転車で登り、徒歩で10分ほど階段を登破すると、メコン川とラオスを一望する「ドイ・パータン」の絶景が広がります。「ドイ」はタイ北部の方言で「山」を意味します。
12月~1月の朝には、この場所でメコンが生み出す雲海がかなり高い確率で発生します。雲海の時間に自転車で訪れるのは難しいですが、山岳道路にはグランピング施設なども多いので、宿泊して楽しむのも良いでしょう。
この山岳道路沿いには、他にも展望の良いカフェや観光スポットがたくさん点在しています。息を呑む絶景の連続に思わず足を止めてしまうこのルートは、チャレンジングなライドの先に待つ感動を味わうことができるのです。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。













