ベストセラーモデル、ホンダ「レブル250」購入者の8割が選ぶEクラッチの魅力とは!? 開発者断言「人間より上手い」
大人気の『Rebel 250(レブル250)』に、発進・変速・停止時にクラッチレバー操作をしなくてもいい「E-Clutch(Eクラッチ)」システムを装備したモデルが登場しました。ジャーナリスト向け試乗会に参加した青木タカオさんが開発者を質問攻めにし、深掘りいたします。
ユーザーはすでに優位性を知っている!
クラッチレバーを握る、離す、ゆっくり繋いで半クラ、これぞバイクを操る醍醐味なんじゃないのかっ!?
ホンダ開発陣よ、教えてくれっ!!
2025年3月13日に発売されたばかりの『Rebel 250 E-Clutch(レブル250 Eクラッチ)』を目の当たりにし、ひとり勝手にボルテージが高まる筆者(青木タカオ)に、本田技研工業株式会社 商品開発部 商品開発課 開発責任者代行の野島一人さんは、こう教えてくれました。

「EクラッチはあくまでもMTであり、1ランク上の走りが楽しめるMTの進化系。操れる喜びがあります!」
EクラッチはCB650RおよびCBR650Rですでに採用され、今回のレブル250 Eクラッチは搭載・第3弾モデル。筆者も両車(CB650R/CBR650R)を体験済みです。野島さんによれば、新型レブル250における受注のうち、Eクラッチ搭載モデルが80%を超えるとのことで、ユーザーからも待望の装備であったことがすでにわかっています。
その一方で、Eクラッチ未搭載モデルの販売は、全体の2割ほどにしか過ぎません。つまりライダーの間では、Eクラッチの効果が絶大であり、好評を博していると言っていい状況なのです。
なにはともあれ、まずは乗ってみることにいたしましょう。
よりコンパクトになったライポジ
2017年のデビュー以来、ベストセラーを続けるレブル250。スリムなフレームに対して、ワイドサイズの前後タイヤがロー&ファットな存在感をアピールするタフでCOOLなスタイルを演出しています。

車体重量は新登場のEクラッチモデルでも、わずか3kg増しの174kg(S Edition E-Clutch=175kg)でしかありません。
取り回しは軽々。シート高は690mmと低く、身長175cmの筆者がまたがると、両足カカトまでベッタリと地面に届きます。
ともに試乗会へ参加した桜井つぐみさん(身長158cm)も、足つき性に不安はありません。「コンパクトなライディングポジションで、小柄なライダーにも操作しやすく、Uターンも苦手にしません」と、教えてくれました。
新型レブル250/Sは、Eクラッチモデルが追加されただけでなく、ハンドルやシートに変更があります。商品開発部 商品開発課 フレーム設計担当の鉦谷弘和さんは、桜井つぐみさんのコメントを受けて「まさに狙い通り」と言わんばかり。細かく説明してくれました。
「(新型は)ハンドル幅を従来比8.9mm短縮し、6.5mmライダー寄りに引き寄せつつ、5.6mm上げています」。
大ヒットのレブル250ですが、新型の開発に向けて手綱を緩めないのがホンダならでは。ユーザーからのリサーチで、「ハンドルが遠い」「お尻が痛い」という声を吸い上げ、乗車姿勢を見直すとともにシートを刷新しています。
クッション性を向上する高反発ウレタンを採用した新作シートで、乗り心地、快適性を上げました。Sエディションはダイヤモンドステッチ、無印モデルはシート表皮もプレーンなものを採用しています。
煩わしいレバー操作から解放
さて、Eクラッチモデルで走り出しましょう。イグニッションをオンにし、サイドスタンドを払う。ニュートラルであることを確認し、セルスターターを回せばエンジンが始動します。

違うのはここから。従来ならクラッチレバーを握った状態で、シフトチェンジレバーを踏み込んで1速に落とします。しかし、Eクラッチは左手のレバー操作が要りません。
発進、シフトチェンジ、さらに停止時もクラッチ操作は不要。クラッチを切ったりつなぐ動作を、モーター駆動による電子制御で自動にしています。
アクセルを開けるだけで発進ができ、シフトペダルの上げ下げのみで変速が可能。停止時も、クラッチレバーを握る必要はありません。
ベテランライダーより巧みな操作
気になるのは、繊細なクラッチワークが果たして自動で安定してできるのかという点でしょう。遠藤洋平さん(パワーユニット開発部 動力研究2課 駆動研究担当)は、「自動制御なら、何度おこなっても失敗しません」と、きっぱり言います。

人間より上手いということは、乗っても実感するではありませんか。Uターンなどで、絶妙なクラッチワークが必要な時もスムーズかつ無駄がありません。
クラッチ制御は、主にMCU(モーターコントロールユニット)がおこないます。スロットル開度やエンジン回転数、ギヤ段数、シフトペダルへの荷重、クラッチモーターリダクションギアのアングル信号、エンジンカウンターシャフト回転数、前後輪の回転差などから算出された車両の状態に対応したエンジンおよびクラッチ協調制御を組み合わせ、発進、変速、停止など駆動力が変化するさまざまなシーンで最適なクラッチコントロールを瞬間的に細かくおこなうことで、スムーズな発進、変速、停止を実現しています。
そしてシフトチェンジは、スロットルを開けたままでOK。シフトダウンに限っては、スロットルワークによるブリッピングでエンジン回転を合わせると、さらにスムーズになるケースもあったものの、シフトアップに関してはライダーが合わせようとするより、自動制御に任せた方が俄然スムーズでした。野島さんら開発チームも「アクセルを開けたままシフトアップ」をユーザーにおすすめしています。
また、走行中にクラッチレバーへの入力があれば、即座に手動操作によるオーバーライド(強制介入)を可能としています。通常のマニュアルクラッチと同じ操作がいつでもでき、システムは即座に復帰します。
シート下に秘密があった!
Eクラッチを司るMCU。シンプルな車体の、どこにいったいあるのか!? 鉦谷さんが新作シートを外して見せてくれました。

後方へ曲がっていた吸気ダクトの形状を変更し、スペースを確保。出力特性に影響することなく、MCUを搭載することを達成しています。
エンジンとフレームの間にあるスペースが、大胆に空いているのが、レブル250の都会的なスタイルを演出し、決定づけています。
そうしたところを埋めてしまうのではなく、MCUを隠し持たせたのは見事としか言いようがありません。
質感そのままにカラバリ増やせる!
筆者はレブル250デビュー前、開発責任者の三倉圭太さんと米国カリフォルニア・ロサンゼルスの試乗会に参加させていただきました。北米仕様のレブル300(日本仕様では250)を前に、三倉さんは「スチールプレス加工のリヤフェンダーにこだわった」と、力を込めたことを思い出します。
にもかかわらず、新型レブル250はリヤフェンダーを樹脂製に刷新しているではありませんか。商品開発部 商品開発課 デザイン担当の西村 舞さんに、変更した理由を聞くと、こう答えてくれました。
「鉄のフェンダーは、私たちも本当になくしてしまっていいものなのか……、じっくり考えました。今回、Eクラッチ搭載にあたって、より幅広い層へ向けてと考えたとき、先入観を持たないお客様は選べるカラーバリエーションが多い方がいいのではと考え、樹脂化を図りました。
アルミ製のリヤフレームとの合わせを綺麗に仕上げるなど、造形での質感を落とすことなく完成に至りました。樹脂製にすることで使える塗料が増え、さまざまなカラー展開が今後できるようになります」。
さらに西村さんは、こう続けます。
「若者たちのトレンドに合わせて、シンプルな黒などだけでなく、少しくすんだ色使いのカラーリングも狙っています」。
ターゲット層であるヤングジェネレーションの桜井さんに感想を聞くと、「はい、しっかりと刺さっています! 明るすぎることなく、可愛らしくもあり、カッコイイですよね」と、好印象であることを教えてくれました。

ますます人気独占の予感
Eクラッチ搭載車が選べるようになっただけでなく、シートやハンドルも変更した新型レブル250/S。デビュー以来、7年連続で軽二輪クラスの販売台数で断トツトップを記録し続けていますが、アップデートした2025年型はさらに強力です。Eクラッチ仕様は5万5000円プラスの69万3000円に価格を抑えています。
Rebel 250:63万8000円(消費税抜き本体価格 58万円)
Rebel 250 E-Clutch:69万3000円(消費税抜き本体価格 63万円)
Rebel 250 S Edition E-Clutch:73万1500円(消費税抜き本体価格 66万5000円)

Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。
















