峠道も軽快にスイスイ走るクルーザー!? V4エンジン搭載のドゥカティ新型「XディアベルV4」とは
ドゥカティの本格クルーザー「Diavel(ディアベル)」が初のフルモデルチェンジ。エンジンをVツインからV4とし、全てを刷新しました。エレガント&ラグジュアリーを演出することに長け、より高みを目指して進化する勢いはさすがドゥカティ。新型「XディアベルV4」の国際試乗会がフランスのカンヌで開催されたので参加してきました。
「XディアベルV4」の、3つの魅力とは?
「XDiavel (エックス・ディアベル)」は、2016年に登場したドゥカティの本格クルーザーです。2011年から販売されている「ディアベル」をベースに、ホイールベースを伸ばし、フォワードステップやエレガントなスタイルが与えられたのが「Xディアベル」です。初のフルモデルチェンジで「XDiavel V4」に生まれ変わりました。

僕(筆者:小川勤)は「XディアベルV4」の大きなトピックは3つあると思っています。
1つ目は、イタリアンらしいエレガントなスタイル。2つ目は、パニガーレ直系となるV4エンジンの搭載。そして3つ目は、クルーザーらしからぬスポーツ性の高さです。1つずつその魅力を解説していきましょう。
そのエレガントなスタイルは、他のどのメーカーのクルーザーとも似て非なるイタリアンらしい高級感とエキゾチックな魅力に溢れています。
実際に目の前にした「XディアベルV4」は、想像以上に華やかでした。見る角度によっては高貴なパープルっぽい色味を感じさせるブラック・ラヴァ、そしてバーニング・レッドは室内と太陽の下ではイメージがガラリと変わります。
ドゥカティの他モデルのようなシンプルなカラーでなく、微に入り細にわたったカラーを採用。色だけに注目してみても、「XディアベルV4」の美学を感じとることができるのです。
エンジンとスポーツ性の高さに関しては、実際に試乗したフィーリングを交えて語る方が良いでしょう。
レース直系エンジンをクルーザーに搭載するのがドゥカティ流
ドゥカティのV4エンジンは、元々はスポーツバイクのために開発されたものです。「XディアベルV4」のエンジンは、ワールドスーパーバイクが由来の「パニガーレV4」エンジンをベースにボアを2mm拡大し、排気量を1158ccに拡大。より中速を強化した味付けとし、グランツーリスモエンジンと名付けられています。爆発間隔や逆回転のクランクシャフトなど、レース直系の技術はそのままで、このハイパフォーマンスエンジンをクルーザーに搭載してしまうのがドゥカティらしさです。

スマートキーをジャケットのポケットに入れ、タンクセンターにある電源ボタンを押すとメーターがオンになります。セルを押すとV4エンジンが目覚め、4つの排気口を持つサイレンサーからジェントルなV4サウンドが轟きます。
「ウエット」「アーバン」「ツーリング」「スポーツ」と4つのライディングモードから「ツーリング」モードを選んでスタートします。
走り出すと、グランツーリスモエンジンはスムーズに回転を上げ、あっという間に速度に乗せていきます。
スロットル操作に対する車体の反応も抜群で、サスペンションがよく動き、乗り心地も良好。驚くのはロングホイールベース、極太タイヤ、さらに巨体を全く感じさせない「軽さ=運動性」があることです。
タイトな路地やランナバウト(環状交差点)でもコンパクトな軌跡で曲がることができます。この挙動は峠での走りのポテンシャルを感じさせるのに十分なものでした。
身長165cmの僕にとって、唯一気になるのはポジションです。足を前に投げ出すフォワードポジションは、少しだけ難しさを感じさせます。写真の乗車姿勢を見て分かるように、足が伸び過ぎて逆に疲れてしまうのです。ただしこの問題は、オプションのミッドコントロールに交換すればすぐに解消されることでしょう。
クルーザーの常識にとらわれないドゥカティ
国際試乗会の舞台となったフランスのカンヌ郊外は、ワインディングの路面も美しく、コーナーのバリエーションの多さが魅力。「XディアベルV4」は、そこで感動と驚きの振る舞いを見せてくれたのです。

クイックシフトは一度発進してしまえば、極低速時を除き、停止時までクラッチ操作を必要としません。バンク中でも車体を揺らすことなくシフトアップ&ダウンができるため、常に理想の回転をキープすることができます。
驚くべきはハンドリングです。足を前に投げ出したポジションは間違いなくクルーザー的ですが、その運動性は目を見張るものがあります。ブレーキ操作やライダーの荷重移動を感じ取ってくるレスポンスの良さは、まさにスポーツバイクの動き。コーナリングが抜群に楽しいのです。
これは前モデルよりもリアサスペンションのストロークを35mm伸ばしたことが効いています。さらにクルーザーでスポーツ走行をするとバンク角不足に悩むことが多々ありますが、「XディアベルV4」にその悩みは皆無。こうした海外試乗会のアベレージは比較的高いのですが、車体はどこも擦ることがありませんでした。

バイクに慣れてきたタイミングで、モードを「スポーツ」へ。するとエンジンレスポンスが上がり、その加速はクルーザーとは思えないほど強烈に。正直、「ツーリング」モードでも速さには一切不満がありませんでしたが、「スポーツ」モードでスロットルをしっかり開けるには、相応のキャリアが必要だと思った方がいいでしょう。峠での「スポーツ」モードは僕の好みではないので、フィーリングを確認した後にすぐに「ツーリング」モードに戻しました。
ランチを終えると、雨が降り出してきました。そこでモードは「レイン」に。パワーフィーリングが穏やかになり、タイヤが冷えている状態だとトラクションコントロールが頻繁に介入し、ライダーをサポートしてくれます。
途中で「ツーリング」モードも試しましたがリアタイヤが滑る感覚が大きく(欧州の路面はウエット時に日本の路面よりも滑りやすい印象があります)、すぐに「レイン」に戻すことに。生憎の雨でしたが、モードを変えるとバイクがガラリと変身する感覚を楽しめたのは収穫でした。
ロングツーリングはもちろんですが、峠でもしっかりとドゥカティらしさを楽しませてくれるクルーザーが「XディアベルV4」です。クルーザーの固定概念にとらわれることなく、独自のセンスで新しいものを作り出していく姿勢は、さすがドゥカティ。それを見せつけられた試乗会でした。
Writer: 小川勤
1996年にエイ出版社に入社。2013年に二輪誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。現在はフリーランスとして二輪媒体を中心に執筆を行なっている。またイベントレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。














