カワサキ「初代空冷Z系エンジン」組み上げ バルブタイミング「28ピン」の誤解釈には要注意!! 最悪の場合はエンジンブローの恐れも 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.36
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキ「Z1/Z2」シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、フルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画です。エンジン組み立てで残す作業はシリンダーヘッドの搭載およびタペット調整になります。ここでは、間違えて組み付けられていることもある「バルブタイミング」をリポートします。
原点はゼロ、次が1。バルブタイミングは再確認が大切!!
4ストロークエンジンの組み立て復元時に、間違えてはいけないのが「バルブタイミング」です。
カムスプロケットに「カムチェーンを掛け間違えて」しまうと、正確な吸排気タイミングを得られなくなり、本来のエンジン性能を発揮できません。そればかりか、最悪の場合、ピストンとバルブが衝突し、エンジンブローを招いてしまう恐れもあります。

初代空冷Z系エンジンの場合は、排気カムシャフトを基準に吸気カムシャフトを組み立てる要領のため、一般的に多いとされる、排気バルブとピストンのヒットは比較的少ないように考えられます。
しかし、吸気カムスプロケットを噛み合わせるときの基準になる「28」ピンマークの位置を間違えて解釈すると、吸入バルブとピストンが干渉してしまい、最悪でバルブを曲げてしまうことにもなるので、組み立て確認は、慎重の上にも慎重を重ねる気持ちを持って、作業進行したいものです。
特に、トップ部が盛り上がったハイコンプピストン(チューニングパーツの高圧縮ピストン) を組み込む際に、バルブタイミングを間違えてしまうと、バルブとピストンが当たりやすいので、より一層の注意が必要です。
手順としては、カムチェーンを掛けてバルブタイミングを決定し、トップアイドラーを締め付けてカムチェーンテンショナーを調整したら、クランクシャフトをゆっくり回します。バルブが干渉するような違和感が無いか? 慎重にチェックします。ヘッドカバーを装着する前に目視確認することで、タペットの動きから吸排気バルブの状況を確認想像することもできます。
また、組み付け作業の進行途中はもちろん、各種カバーを「閉じ」て締め付けるような際には、組み立てオイルを各部品同士の摺動部分、例えば、タペット周辺やカム山、カムチェーンなどに適量塗布します。
高性能添加剤が配合されたオイルスプレーもありますので、利用することで作業性が高まります。組み立て時にオイルを塗布しなかったことで、摺動摩擦部分の初期馴染みが悪くなり、それが原因でカジリを起こすこともあります。そんな初期馴染みの悪さが、部品の異常摩耗を進めてしまうこともあります。組み立て時は、各摺動部へのオイル塗布を忘れずに!! 今回の作業の流れは写真とキャプションを参考にしてください。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。




















