トライアンフの新たな可能性? 「適度なユルさ」が魅力の「TRIDENT 660」 2025年型は電子装備充実で99万5000円!!

英国の老舗ブランド「トライアンフ」が2020年に新型として公開した「TRIDENT 660(トライデント660)」は、排気量660ccの水冷並列3気筒エンジンを搭載するスポーツネイキッドモデルです。2025年型で各種電子デバイスを充実させ、100万円以下の低価格を維持。いったいどのような乗り味なのでしょうか。試乗しました。

2025年型で電子デバイスを充実化

 1970年生まれで、1996年から2輪メディアの仕事を始めた私(筆者:中村友彦)は、ここ最近は国内外のさまざまなバイクの価格を見て、一昔前と比べるとずいぶん高くなったなあ……と感じる機会が増えています。そんな中で珍しく、私が以前から「安い!!」と感じているのが、トライアンフが2021年から国内発売を開始した「TRIDENT 660(トライデント660)」です。

トライアンフ「TRIDENT 660」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)
トライアンフ「TRIDENT 660」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)

 近年のミドルクラスの基準で考えるなら、そもそも初代の97万9000円という価格(消費税10%込み:以下同)が十分安かったのですが、電子デバイスの充実化を図り、フロントフォークやリアブレーキなどを刷新した2025年型が、2023~2024年型と同じ99万5000円(ツートーンカラー車は100万8000円)という事実に、私は驚きを感じました。

 なお、2025年型で新規導入した電子デバイスは、クイックシフター、クルーズコントロール、スマホとメーターの連携機能です。ただし、エンジン特性が任意で変更できるライディングモードは2種から3種に増え、6軸IMUの導入に伴い、ABSとトラクションコントロールはコーナリング対応型に進化しています。

 ただしこのバイクの最大の注目要素は、ミドルクラスの平均値を下回る価格設定や、多種多様な電子デバイスではありません。誤解を恐れずに表現するなら、エンジンとシャシーの適度な「ユルさ」こそが、「トライデント660」の魅力ではないか……と、私は感じているのです。

常用域が、すこぶる楽しい

 キャラクターに多少の差異はありましたが、これまでにトライアンフが販売した排気量675/765ccの並列3気筒車は、基本的にワインディングロードやサーキットでの運動性能や爽快感を重視していました。

 具体的な話をするなら、エンジンもシャシーも乗り手の操作に対する反応が機敏で、ある程度以上のスピードでスポーツライディグをしたときにこそ真価を発揮する特性だったのです。

 ところが「トライデント660」の場合は、乗り手の操作にエンジンとシャシーが反応するまでに適度な「間」が存在し、急かされる雰囲気が見当たらないので、常用域がすこぶる楽しいのです。

 もっとも、だからと言って遅いわけではなく、十分以上のパワーや軽さ、現代的な足まわりのおかげで(最高出力は81ps/10250rpm、車重は190kgでタイヤは前後17インチ)ワインディングロードはなかなかのハイペースで走れるのですが、潜在能力を引き出せなくてもストレスは溜まりません。

 サクッと書いてしまいましたが、これまでに体験した「デイトナ675」や「ストリートトリプル(675/765シリーズ)」で、各車各様のスポーツライディングを堪能してきた身としては、速く走ることをまったく強要しない「トライデント660」のフレンドリーさと従順さはかなり意外でした。

 逆に言うならこのバイクを通して、私はトライアンフ製並列3気筒車の新しい可能性を感じたのです。

バリエーションモデルとの差異

 そしてそういった資質を広めようと考えたトライアンフは、「トライデント660」の基本設計を転用したバリエーションモデルとして、2022年にアドベンチャーツアラーの「タイガースポーツ660」(価格:112万5000円/113万8000円)、2024年にフルカウルスポーツの「デイトナ660」(価格:108万5000円/109万8000円)を発売しています。もちろん同社としては、旅好きには「タイガースポーツ660」、スポーツライディング好きには「デイトナ660」、という意識で開発を行ったはずですが……。

排気量660ccの水冷並列3気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。最高出力81PS(59.6kW)/10250rpm、最大トルク64Nm/6250rpmを発揮
排気量660ccの水冷並列3気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。最高出力81PS(59.6kW)/10250rpm、最大トルク64Nm/6250rpmを発揮

 全体のバランスが絶妙な「トライデント660」とは異なり、「タイガースポーツ660」は車重(トライデント660+17kgの208kg)、「デイトナ660」は抜群とは言い難い旋回性能に、私は何となく違和感を覚えました。

 もっとも、そのあたりの感じ方は人それぞれで、世の中には「トライデント660」の快適性や運動性に物足りなさを感じる人もいるでしょう。

 かく言う私も、あえて「トライデント660」に異論を述べるなら、作動性がいまひとつのリアショックはアフターマーケットの良品に交換したいと思いました(その一方で、構造をSFFからSFF-BPに刷新したショーワのφ41mmフォークは好感触)。

 とはいえ、トライアンフ製660cc並列3気筒車の魅力が味わいやすいという見方をするなら、私のイチオシは装備がシンプルで気軽なオールラウンダーとして使える、ベーシックネイキッドの「トライデント660」なのです。

【画像】すこぶる楽しい!! シンプルで扱いやすくてスポーティな3気筒車「TRIDENT 660」を見る(19枚)

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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