「もう嫉妬しかない」!? 現役「G/S」オーナーがBMW Motorrad新型「R 12 G/S」試乗で受けた衝撃 オフロードで感じた「本気度」とは

BMW Motorradは2025年3月に新型「R 12 G/S」を発表しました。往年の「R 80 G/S」からスタイルを引用しつつオフロード走行も楽しめる、排気量1170ccの空油冷ボクサー(水平対向2気筒)エンジンを搭載するヘリテージモデルです。一体どのような乗り味なのでしょうか。ドイツで試乗してきました。

現役「アーバンG/S」オーナーが、新型「R 12 G/S」の正体に迫る!

 BMW Motorradは、2025年にニューモデル「R 12 G/S」を発表しました。同社は2024年に旧来の「R 12 nineT」の後継モデルとなる「R 12 nineT」と、新基軸のクルーザーモデル「R 12」を発表しており、「R 12 G/S」はその派生モデルのひとつとなります。

BMW Motorrad新型「R 12 G/S」(2025年型)に試乗する筆者(土山亮)
BMW Motorrad新型「R 12 G/S」(2025年型)に試乗する筆者(土山亮)

 現行「R 12」シリーズは、それまでの「R nineT」シリーズの系譜を受け継ぎ、空油冷ボクサーエンジンをスチールチューブラーフレームに搭載し、クラシックなスタイルでまとめあげる「ヘリテイジ」モデル(レトロやビンテージ、クラシックなテイストを持つモデル)として発売されました。

 この「R 12 G/S」は、旧来の「R nineT」シリーズに存在したクラシック・オフロード・テイストを持つ「R nineT Urban G/S」(以下、アーバンG/S)の後継モデル、そんな印象を抱く人も多いでしょう。

 2025年6月、筆者(土山亮)はドイツのヘヒリンゲンにあるBMW Motorradのオフロード施設「エンデューロパーク」と周辺の公道で、新型「R 12 G/S」に試乗してきました。

 筆者はこれまで、2017年の初期型「アーバンG/S」を購入し、その後2020年型の同モデル「40 Years GS(GS生誕40周年記念限定車)」に買い替えて、現在もほぼ毎日「アーバンG/S」に乗る現役オーナーです。

 2台合わせて走行距離はすでに10万kmを突破し、「アーバンG/S」の長所・短所はすべて実体験を通じて把握しているつもりです。

「R 12 G/S」発表の時点でその特徴をすべて頭に叩き込んだ筆者は、この時点で「これはアーバンG/Sとはまったくの別物だぞ……」と理解してはいました。いざ試乗してみると、その予想はまったく正しく、そして自分が想像していた以上に、「R 12 G/S」は純粋なオフロードバイクだったのです。

 基本的に言えば「R 12 nineT」をベースにしたオフロードモデルです。排気量1170ccの空油冷ボクサーエンジンを搭載し、最高出力は「R 12 nineT」と同じ109馬力、トルクの数値も115Nmと同一ですが、ブロックタイヤでのオフロードランを見越して既存の「GS」モデル同様に、ライディングモードでは「エンデューロ」、「エンデューロPro」を装備しています。

「R 12 G/S」が既存「R 12」シリーズと特に大きく異なるのは車体です。フレームは「R 12 nineT」や「R 12」と同様の1ピースタイプのスチールチューブラーフレームながら、フロントの倒立フォークはΦ40でストローク量は210mm、リアサスペンションは200mmとなっています。

 さらにフロントホイールは21インチ、リアは標準仕様で17インチ、オプションで18インチも選択可能です。ちなみに「GS」モデルでリア18インチ仕様は存在しません。

 特にフロントエンドはストロークの大きなフォークを採用していることもあり、ステアリングヘッド周辺を大幅に変更。より高く持ち上げてオフロードでの適切なキャスター、トレールを確保できるように設計されています。

 また、実はリアサスペンションやサイドスタンドのマウント部も、既存の「R 12」シリーズとは変更されています。リアサスペンションのストロークアップや、240mmも確保した最低地上高に合わせて細かな修正が加わっています。

オンロードで試乗したのはリアホイールが17インチの車体。シート高は860mmと小柄な筆者にはなかなかシビアですが、片足はちゃんと接地できます。フロントホイール21インチでのコーナリングはフィーリングも自然でそれなりに楽しめちゃいます
オンロードで試乗したのはリアホイールが17インチの車体。シート高は860mmと小柄な筆者にはなかなかシビアですが、片足はちゃんと接地できます。フロントホイール21インチでのコーナリングはフィーリングも自然でそれなりに楽しめちゃいます

 試乗は午前中のオンロードからスタート。ここではリア17インチのモデルを使用しました。シート高は860mmで、小柄な筆者では片足の爪先しか地面に届きませんが、自分の愛車とも通じるデザインや車体構成は、大柄な「R 1300」系と違って威圧感もありません。

 エンジンのフィーリングは「R 12 nineT」同様で、とにかく扱いやすい。そして感動したのはサスペンションの素晴らしさです。フロント19/リア17インチで前後のストロークが125mm/140mmしかない「アーバンG/S」とは、当たり前ですが何もかもが違います。

 舗装路の細かな継ぎ目でもまさに適度な減衰でショックを吸収、特にリアサスペンションの路面追従性には感動しました。軽くフラットダートも走行しましたが、ソフトなフィーリングの中にしっかりとコシがあり、常にリアタイヤのグリップとトラクションを感じることができます。

「アーバンG/S」を愛車とする筆者にとって、数少ない不満の筆頭がサスペンションの動きとストローク量だったので、この足まわりにはもうベタ惚れです。

 もうひとつ感動したのはポジションです。シッティングでもスタンディングでも極めて自然。旧来の「アーバンG/S」は、カフェレーサー的スタイルで登場した「R nineT」と同一の燃料タンクで、実はロングタンクなのです。そのせいでシートからハンドルが遠く、さらにマウントも低いため、特にスタンディングの際はハンドルが低過ぎておかしなポジションになりがちでした(筆者はライザーを追加してカスタム済み)。

 ところが「R 12 G/S」は、オフユースを想定したハンドル、ステップ、シートのエルゴノミクスを決定しているとあって、ハンドルの位置が極めて自然でシッティングでも違和感がなく、スタンディングでも下半身での車体のホールドがしやすいのです。この設計には心底感動しました。

 自車「アーバンG/S」の不満のもうひとつがライディングポジションだったので、試乗開始からわずか1時間足らずで、もう「R 12 G/S」には嫉妬しかない……そんな心境になってしまいました。

オフロード走行で感じた「本気」度

 午前中に舗装路での試乗を終えて、いよいよエンデューロパークへ。山を切り拓いたこの施設には広大なフラットエリア、ウッズセクション、水たまり、ぬかるみ、ブロックや大小の石を敷き詰めた人工的セクションまで、あらゆるラフロードが設定してあります。

この日一番の難所、水分をたっぷりと含んだフッカフカのサンドセクションでは、深い砂にフロントが取られそうになりながらもスロットルを開けないことには進めない。トラクションコントロールは本当に優秀で、リアを振り過ぎることなくスロットル操作がトラクションへと変化。2度トライしましたが無事に脱出
この日一番の難所、水分をたっぷりと含んだフッカフカのサンドセクションでは、深い砂にフロントが取られそうになりながらもスロットルを開けないことには進めない。トラクションコントロールは本当に優秀で、リアを振り過ぎることなくスロットル操作がトラクションへと変化。2度トライしましたが無事に脱出

 ここで試乗したのはリア18インチ、さらにハンドルに10mmのライザーを追加した、最もオフロード寄りのパッケージです。前後にメッツラータイヤのカルー4を履く「R 12 G/S」は、その見た目からしてピュアオフローダー。オフロードブーツに履き替えたものの、シート高はさらに高くなって片足で接地するのがやっとです。

 走行モードは「エンデューロ」を選択し、いざコースイン。スロットルの開け方によってはリアのスライドをある程度は許容してくれるモードでは、もちろんリアブレーキでのスライドも許容してくれます。ウォームアップの低速走行でそのフィーリングを確認してから本格的なセクションへ。

 固くスライドしやすい路面でのコーナーリングでは何度かリアブレーキを踏み過ぎて車体後部が大きく流れてかなり焦った瞬間もありましたが、いつの間にか収束。「エンデューロ」モードの制御の利点を早くも実感することになりました。

 さらにロードでも好印象だったサスペンションは、オフロードでもその真価を体感できました。ほんの軽いジャンプ、大きな溝超え、階段セクションを下るようなシーンでも、サスペンションの動きは感動的にスムース。永遠のオフロードビギナーを自認する筆者でも分かるレベルの上質な動きは、エキスパートのライダーならよりそのポテンシャルを引き出した走行ができるでしょう。

 またとても感心したのは、最新世代のBMW Motorrad ABSです。オフロードにも対応し、ガレ場の下りでもフロントブレーキをガンガン握れます。このブレーキへの安心感は筆者のようなビギナーにとって、とても重要です。現行「F 900 GS」でダートを走行した時に感じたブレーキの素晴らしさですが、「R 12 G/S」のブレーキシステムはまったく同じレベルのフィーリングをもたらしてくれました。

 エンジンも同様に、「エンデューロ」モードはガレ場の登りや、いやらしいぬかるみ、深い水たまりでもしっかりと路面を捉えてくれます。登りのガレ場でラフにスロットルを開けても、リアホイールの空転は一瞬で収まって車体を前へ進めるトラクションに変わります。スロットルコントロールに自信のない筆者のようなビギナーでも、ちゃんとオフロードを楽しませてくれます。

 シート位置の高さゆえに、足場の悪いところで車体を止めるときこそ気を使うものの、それ以外は筆者にとってパーフェクト。現役「アーバンG/S」オーナーからすると、ポジション、サスペンション、車高、オフ性能と、そのすべてが嫉妬の対象……と言っても過言ではありません。

 本気のオフ性能を持つ「R 12 G/S」は旧来の「GS」ファンのみならず、「R 12」シリーズのようなヘリテイジモデルを好むファンまでも惹きつける魅力を備えている1台と言えるでしょう。

※ ※ ※

 BMW Motorrad新型「R 12 G/S」は2025年5月21日より専用ウェブサイトにて注文受付を開始しており、納車は8月以降を予定しています。

 価格(消費税10%込み)は245万1000円から(カラーによって異なる)、18インチのリアホイールなどを含む「エンデューロパッケージプロ」を装備する「GS Sport」は254万5000円からとなっています。

 日本でラインナップするBMW Motorradは、ETC2.0車載器を標準装備します(一部を除く)。

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