スズキ新型「SV-7GX」国内導入は2026年中か 生産終了の「SV650」と「V-Strom650」のいいとこ取りではない? スズキ製ミドルVツイン車の資質とは

2025年11月にイタリア・ミラノで開催された「EICMA 2025」で、スズキは新型「SV-7GX」を発表しました。生産終了となった「SV650」や「V-Strom650」系のミドルVツインエンジンを継承する新型について、その特徴を考察します。

新型「SV-7GX」は、本当にいいとこ取りなのか?

 この原稿を書いている2026年1月の段階では、日本市場での発売日と価格は未発表ですが、2025年11月の「EICMA 2025」でスズキが発表した「SV-7GX」に対して、私(筆者:中村友彦)の周囲の友人知人はかなりの期待を抱いています。

 その理由は、スズキのミドルVツインエンジンだから……でしょう。いや、改めて考えるとその理由はちょっと安直な気がしますが、1999年型に端を発するオンロードスポーツの「SV650」シリーズと、そのエンジンを転用する形で2004年から発売が始まったアドベンチャーツアラーの「Vストローム650」シリーズは、私の周囲だけではなく、2輪メディア業界でも大人気の「鉄板物件」なのです(いずれのモデルも2025年に生産が終了しています)。

「SV-7GX」は、そんな2台のいいとこ取りをしたモデルのようですから、多くの人が好感を抱くのは当然のことでしょう。ただし、「SV650+Vストローム650=SV-7GX」なのかと言うと、必ずしもそうではありません。

 2台のいいとこ取りをした結果として、両車ならではの魅力は多少なりとも失われている(かもしれない)のですから。

スズキ「SV650」が搭載する排気量645ccの水冷90°V型2気筒エンジン
スズキ「SV650」が搭載する排気量645ccの水冷90°V型2気筒エンジン

 そういった事実を踏まえて「SV-7GX」に試乗できる日を心待ちにしつつも、あえて今、市場にまだ新車が存在する「SV650」シリーズと「Vストローム650」シリーズを購入するのもアリではないか? と私は感じています。

 というわけで、以下では国内導入が待ち遠しい「SV-7GX」との比較をしながら、既存のスズキ製ミドルVツインのベーシックモデル「SV650 ABS」と「Vストローム650 ABS」の魅力を記したいと思います。

素性の良さを感じやすい「SV650」

 3台のスズキ製ミドルVツインの相違点を端的に示す数値として、私が注目しているのは「車重・ホイールベース・シート高・前後タイヤサイズ」の4点です。

「SV-7GX」
211kg・1445mm・795mm・前後17インチ

「SV650」
199kg・1450mm・785mm・前後17インチ

「Vストローム650」
212kg:1560mm・835mm・19/17インチ

 上記の数値を見ていただければわかるように、「SV650」の魅力は圧倒的な軽さです。軽さは日常域の扱いやすさや峠道での運動性能に結び付きますから、それだけで十分「SV650」を選ぶ理由になるでしょう。

ネイキッドロードスポーツ「SV650」は、1999年に初代、2003年に2代目、2009年以降の「GLADIUS(グラディウス)」を挟んで2016年に3代目が登場
ネイキッドロードスポーツ「SV650」は、1999年に初代、2003年に2代目、2009年以降の「GLADIUS(グラディウス)」を挟んで2016年に3代目が登場

 もっとも、「SV-7GX」は電子制御式スロットルやドライブモードセレクター、トラクションコントロール、クイックシフターなどを導入しているので、扱いやすさや運動性という面で、「SV650」がそれを確実に上回っているとは言えません。

 とはいえ、12kgの重量差は意外に大きいものですし、世の中には多種多様な電子デバイスのサポートにそこはかとない抵抗を感じる人もいるでしょう。

 いずれにしてもこの3機種で比較すると、軽くてシンプルなネイキッドの「SV650」は、スズキ製ミドルVツインの「素性の良さ」を感じやすいモデルなのです。

ロングランに適した「Vストローム650」

 では「Vストローム650」の魅力は何かと言うと、車格と前輪の大きさによる安定感です。なお、車格が大きい理由は初代の登場時の兄貴分だった「Vストローム1000」と車体の基本を共有しているからで、そのおかげでリッタークラスに匹敵するレベルの快適性が満喫できます。ちなみに「SV650」の車体はミドル専用設計です。

「V-Strom650」は、2004~2016年の前期型、2017~2025年の後期型に大別できる。日本市場に導入されたのは2013年から
「V-Strom650」は、2004~2016年の前期型、2017~2025年の後期型に大別できる。日本市場に導入されたのは2013年から

 ただし、前述した「SV-7GX」の電子デバイスは安定感と快適性にも貢献するはず。そして最新技術で設計されたフェアリングは、「Vストローム650」以上の防風効果を発揮する可能性があるのですが……。

 ホイールベースが115mm短く、前輪の外径が2インチ小さく、着座位置が低くてシートからステップまでの距離が短そうな「SV-7GX」(SV650とすれば、27mm長くなっている)では、おそらく「Vストローム650」ほどの安定感と快適性は味わえないでしょう。となると、スズキ製ミドルVツインで心行くまでロングランを満喫したいライダーにとっては、「Vストローム650」の方が向いている……のかもしれません。

既存の2機種は、相当にお買い得!!

 さて、ここまでは乗り味に関する話をしてきましたが、既存のスズキ製ミドルVツインの魅力として、私がもうひとつ挙げておきたいのは価格です。

 何と言っても近年のミドルクラスの基準で考えると、以下に示す価格設定は相当にお買い得なのですから(いずれも消費税10%込み)。

「SV650 ABS」=83万6000円
「SV650X ABS」=88万円
「Vストローム650 ABS」=99万円
「Vストローム650XT ABS」=103万4000円

 その一方で、「SV-7GX」の価格が果たしていくらになるのかと言うと、エンジン+フレームの基本設計を既存の「SV650」から転用しつつも、数多くの部品を新規開発しているのですから、普通に考えれば110~120万円前後になるでしょう。

 参考値として、現行モデルのスズキのミドルパラレルツインエンジン車の価格は以下の通りです(いずれも消費税10%込み)。

「GSX-8S」=112万2000円
「Vストローム800」=127万6000円

スズキ製ミドルVツインの最新作となる「SV-7GX」は、クロスオーバーツアラーと言うべき雰囲気
スズキ製ミドルVツインの最新作となる「SV-7GX」は、クロスオーバーツアラーと言うべき雰囲気

 そういった価格差をどう感じるかは人ぞれぞれですが、各車各様の魅力を備えた「SV650」シリーズと「Vストローム650」シリーズに興味を抱いている人は、なるべく早めに、新車をストックしている販売店に出かけた方が良いと思います。

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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