惜しまれつつも姿を消したバイクたち 有終の美を飾る「ファイナルエディション」 やたらと多いのはカワサキ!?
どんなバイクもいつかは生産終了・販売終了しますが、中には記念として「ファイナルエディション」を発売することがあります。メーカーのこだわりやユーザーへの感謝を込めた、国産バイクのファイナルエディションを一挙紹介します!
あるようで少ないファイナルエディション
最終仕様を意味する「ファイナルエディション(Final Edition)」は、すべてのバイクで設定されるわけではありません。……と言うより、純粋に「最終型」で終わるモデルがほとんどです。
ファイナルエディションが登場するのは後継モデルに切り替わる時ではなく、どちらかと言うと人気がありながらも姿を消す時(新規制などに対応できない、または対応するのにコストがかかる等)、というパターンが多い印象です。

それだけにファイナルエディションとなるモデルはメーカーの拘りが詰まったバイクが多く、ファイナルエディションならではの特別装備を施した車両もあり、欲するユーザーも多く存在します。
というワケで、国産メーカーから登場したファイナルエディションを振り返ります。
ホンダと言えば「CB」と「スーパーカブ」
ホンダと言えば、2025年11月に発売された「CB1000F」が注目を集めましたが、その少し以前に姿を消したのが、「CB1300 SUPER FOUR」および「CB1300 SUPER BOL D’OR」です。
両車は1992年に「PROJECT BIG-1」のコンセプトのもとに誕生した「CB1000 SUPER FOUR」の血統を守り、永くホンダのフラッグシップとして君臨してきました。
その最終モデルとなるのが「CB1300 SUPER FOUR Final Edition」と「CB1300 SUPER BOL D’OR Final Edition」、そしてオーリンズ製のサスペンションやブレンボ製のブレーキを装備する「SP」モデルです。
全車が燃料タンク上面にFinal Editionのステッカーが貼られ、ドライブチェーンがゴールド、スイングアームとトップブリッジ、ステアリングステムをシルバーとして、初代のカラーを踏襲しています。

また「CB」シリーズでは、空冷4気筒エンジンを搭載した「CB1100 EX」と「CB1100 RS」が2021年にファイナルエディションを発売しました。こちらも専用色を纏い、燃料タンク上面にFinal Editionのステッカーが貼られました。
他にも「新基準原付」への移行に伴い、「スーパーカブ50」が生産終了するため、「スーパーカブ50・Final Edition」が受注期間限定で発売されました。
とはいえ「スーパーカブ」自体は「110」や「125」で存続しているため、50cc原付で初めてOHCエンジンを搭載した1960年の「スーパーカブC50」をモチーフにしたポニーブルーのカラーを纏い、エンブレムやイグニッションキーに専用デザインを施しています。
そしてオマケに「モンキー・50周年スペシャル」もありました。こちらはファイナルエディションの表記はありませんが、50ccモンキーの最終モデルとして正式に台数限定で発売されたため、実質的にファイナルエディションとして捉えられています。
ヤマハはロングセラーの2モデル
ヤマハでは、1978年に登場し、スポーツバイクで国内最長の43年に渡って販売してきた空冷単気筒エンジン車の「SR400」を2021年に生産終了。これを記念して2色のファイナルエディション(ダークグレーはタンクサイドにFinal Editionのグラフィック、ブルーメタリックはサイドカバーに専用エンブレムを装備)と、特別装備を奢った「SR400 Final Edition Limited」を発売しました。

「Limited」の方は、SR限定モデルでお馴染みのサンバースト塗装のブラックでペイントし、サイドカバーにはシリアルナンバー入りの電鋳エンブレムを装着。本革調のシートやブラウンアルマイトのホイールリムを装備し、メーター文字盤にもFinal Editionの文字が入りました。
そしてもう1台のロングセラーである、トレールバイクの「SEROW250」も2020年にFINAL EDITIONを発売。こちらも1985年の「SEROW225」発売から35年を記念して、初代カラーをオマージュしたグリーンとレッドの2モデルをリリースしました。
スズキは「KATANA」と「油冷」
おそらく日本初のファイナルエディションとなるのが、スズキが2000年に発売した「GSX1100S KATANA Final Edition」です。
「KATANA」は1980年のプロトタイプ発表時はあまりに奇抜なスタイルに賛否が分かれましたが、翌1981年に発売されると人気爆発、約20年も販売されました。
トップブリッジにシリアルナンバーの入ったプレートを装着するだけでなく、フロントブレーキに当時最新のトキコ製4POTキャリパー&φ300mmディスクを装備し、容量を拡大したカヤバ製のリアショックを装着。マフラーステーを兼ねるタンデムステップのホルダーは、既存モデルではフレームに溶接されていましたが、カスタムしやすいようにボルトで脱着できる別体式になり、スイングアームピボット付近のフレームに補強が入るなど、パフォーマンスを高める特別装備が多数おごられました。

そしてスズキと言えば「油冷エンジン」です。1985年の「GSX-R750」で登場してから、スーパースポーツモデルやネイキッドなど多くの車種に採用されましたが、2006年の「バンディット1200/S」が最後になりました(油冷方式は単気筒エンジンの「ジクサー250」や「Vストローム250SX」で再登場)。
そこで「バンディット1200/S」のファイナルエディションには、燃料タンク上面に、漢字で「油冷」の文字が入れられました。
カワサキはファイナルエディションの宝庫
じつはファイナルエディションを多発しているのがカワサキで、なかでも空冷4気筒エンジンを搭載するネイキッドの「ゼファー(400χ、750、1100)」シリーズが有名です。
いずれもモチーフとなった「Z1」こと「900super4」の火の玉カラーを纏っており、エンブレムや細部のペイント、シート表皮などが専用品になります(排気量によって異なる)。
2016年には「角Z」や「ローソン・レプリカ」を彷彿させる「ZRX1200DAEG」のファイナルエディションが発売されます。こちらもライムグリーンの専用カラーや白パイピングのシート、エンジンや各部のブラック&ゴールドの仕上げが魅力です。
また当時はファイナルエディション用にオーリンズ製の正立フロントフォークとリアショックが限定100セット販売され、これらを装備した車両は中古車価格も別格です。

他にも2016年には「戦う4スト」のキャッチフレーズで人気のオフロードモデル「KLX250」と、派生モデルで生まれたモタードの「D-TRACKER X」もファイナルエディションが登場。
また2017年には小粋なレトロスタイルの「エストレヤ」のファイナルエディションが販売されました。ちなみにこれらのバイクは2015年に「KLX230」シリーズや「W230」として復活しています。
同様に2016年にはネオクラシックの「W800」のファイナルエディションを発売しましたが、こちらも2018年に「W800 STREET/cafe」で復活し、現在の「W800」に繋がっています。
ちなみに、メーカーのファイナルエディションとは少々異なるかもしれませんが、いまだ人気の高い「GPZ900R」は、当時日本へ逆輸入を行う正規販売元のブライトが、最終仕様となる2003年のマレーシア仕様のA16型に「Final Edition GPZ900R」のエンブレムを同梱して販売しました。
新排ガス規制でファイナルエディション登場か!?
前述したように、ファイナルエディションは「惜しまれつつも時代の波に逆らえず姿を消したバイク」に設定される傾向があり、排出ガスなどの新規制に連動しているパターンが少なくありません。
その意味では、世界基準の排出ガス規制で現在は「ユーロ5+」が進んでおり、日本でも2026年11月に継続生産車にもマフラーの触媒の劣化検知機能(通称OBD2-2)が必要になり、これらの新排出ガス規制に対応できないバイクは姿を消すことになります。
となると、そのタイミングでファイナルエディションが登場するバイクも「無くは無い」……と想像できます。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。




























