ミドルクラスアドベンチャーバイク、その魅力とは
アドベンチャーバイクの人気と販売台数の拡大は、日本で、そして世界で安定した成長を続けています。なかでも多機能なアドベンチャーバイクの世界を楽しめて、排気量を1000cc以下に、パッケージとしてよりオフロード走破性にフォーカスした、2022年型の注目モデル3機種を紹介します。
ミドルクラスのアドベンチャーバイク、そもそもどんな特徴が?
アドベンチャーバイクの人気と販売台数の拡大は、日本で、そして世界で安定した成長を続けています。

その秘密は、舗装路も未舗装路も越えてゆく多機能ツーリングマシンであり、長い航続距離を可能にする容量の大きな燃料タンク、快適性を確保するフェアリング、タンデム走行もラクラクこなす車体デザイン、もちろん旅の荷物を簡単に積載できるようなラックやケースを使ったラゲッジシステムの用意など、バイクライフを充実させるもの全てがその周辺にあること。そして走りもメーカーが力を入れて開発していることもあり、1人でも2人乗りでも、楽しい走りを享受できる部分があることも大きな魅力でしょう。
そのぶん、少々大柄で車重があるという特性も持っています。
多機能なアドベンチャーバイクの世界を楽しめて、排気量を1000cc以下に。さらにパッケージとしてよりオフロード走破性にフォーカスしたバイク達がここ数年、人気の伸びを見せています。
プレミアムクラスとも言える1000㏄超のバイクよりは軽く、価格も抑えた点も人気の秘密と言えそうです。

じつはこれまでも、かつてBMW Motorradでは「F800GS」や「F650GS」で、トライアンフは「タイガー800」で、またKTMでは「690エンデューロ」など、ミドルクラスのオン/オフスポーツバイクのセグメントに送り込んできていました。
そして、ホンダが久々にリバイバルとなった「アフリカツイン」を2016年にリリースした時点で、そのオフロード走破性を前面に出したイメージに刺激されたミドルクラスの形勢が加速したのです。
特徴としては、フロント21インチ、リア18インチサイズのタイヤを履き、600㏄から900㏄クラスのエンジンを搭載。1000ccモデルほど大容量の燃料タンクではなく、とは言え15〜18リッターを確保し、車体はスリムに。そして車重は全体的に装備重量で200〜220kg程度に納めています。そこにオフロードでの走破性、コントロール性を引き出し、ファンバイクとして楽しめる要素を盛り込んでいるのです。

こうして生まれたのが、ヤマハ「テネレ700」、KTM「790(現890)アドベンチャー/アドベンチャーR」です。エンジンは充分なトルク、パワーを持ち、走破性を印象付ける長いサスペンショントラベルもミドルクラスアドベンチャーバイクに新しい価値を注ぎました。
直近の代表としては、引き続き「テネレ700」、アプリリア新型「トゥアレグ660」、ドゥカティ新型「デザートX」も仲間入りしました。
大型モデル同様、かつてダカール・ラリーへの参戦というDNAを背景にしたイメージ作りです。例えばヤマハでは、「テネレ」のネーミングの由来は、かつてパリ〜ダカール・ラリーが通過した砂漠の名前です。新型のリリースに向けたプロトタイプでのティーザー展開でも、オフロードを徹底してイメージさせています。
また、KTMは現在のダカール・ラリー参戦マシンが持つタフさ、運動性を、ストリート用の2気筒エンジンを搭載した「790アドベンチャー」に投影。燃料タンクは20リットルも入るのに、その搭載位置をエンジン両サイドのクランクケースレベルに垂れ下げたことで、車重を思わせない運動性が与えられました。オフロードコースをガンガン走れるほどのアジリティーなのです。

アプリリアの「トゥアレグ」も同様で、1985年から販売されていた「トゥアレグ」というアドベンチャーバイクは、当時のダカール・ラリー参戦バイクを思わせるスタイルでした。名前の由来は、当時ダカール・ラリーが走破するサハラ砂漠に暮らす遊牧民から頂いたもの。新型では排気量660ccクラスの直列2気筒エンジンを搭載し、KYB製の前後サスペンションは240mmのストロークを確保しています。ヘッドライトのデザインは砂漠の民、トゥアレグ族が頭に巻くターバンから覗く目のようですらあります。
そしてドゥカティの「デザートX」です。これも1990年台初頭、ラリーで勝利を挙げたカジバのファクトリーマシンをオマージュしたもの。スタイル、カラーともに絶妙です。そのパワーユニットが当時カジバ傘下にあったドゥカティのL型2気筒だったことはお馴染み。
巧みなデザインで往年のラリーを思わせるスタイルを織り込みつつ、レトロモダンでありながら真似のできない完成度でまとめ上げています。もちろん、オフロード走破性を高め、そのプロモーションビデオは砂丘を駆け上がり、頂点から飛び出す刺激的なものでした。

もちろん、オフロードアジリティーを高めつつも、舗装路の走りも充分。前後ホイールサイズから、タイヤの選択肢も舗装路から未舗装路まで多岐にわたる好みも反映できます。
つまり、オフロードライダーをも刺激する2気筒オフロードバイク的なムーブメントを持つ現在のミドルクラスアドベンチャーセグメントでは、ツーリングを楽しむ、オフロードももっと楽しむ、というスタンスから目が離せません。そんなイメージで選べる、ミドルクラスアドベンチャーバイク達なのです。
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。













