ホンダ「ジャイロ」系を凌駕!? 圧倒的な積載性能を実現したピアッジオの3輪スクーター「マイムーバー」とは
独創的な3輪スクーターで知られるイタリアの「PIAGGIO(ピアッジオ)」は、フロント1輪/リア2輪のデリバリー用スクーター「Mymoover(マイムーバー)」をラインナップし、日本市場へは2023年から導入されています。いったいどんな乗りものなのか? 試乗しました。
イタリアならではの配達業務用スクーター
ホンダ「ジャイロ」系のイタリアバージョン? イタリアの「PIAGGIO(ピアッジオ)」が2020年から(日本市場への導入は2023年から)発売を開始した配達業務用スクーター「Mymoover(マイムーバー)」と初めて対面した私(筆者:中村友彦)はそんな印象を抱きました。その一番の理由はフロント1輪/リア2輪というタイヤの配置ですが、フロントボディが左右にスイングすることや、直立状態での停止を可能とするチルトロック+パーキングブレーキを装備している(サイドスタンドとセンタースタンドは存在しない)ことなども、「マイムーバー」と「ジャイロ」系に通じる要素です。

もっとも、マイムーバーはジャイロ系とは一線を画する魅力を数多く備えています。中でも最も目を引くのは、最大積載量60kg/容量261Lの巨大なリアボックスですが、フロントキャリアも相当に頑丈な構成で、最大積載量は20kgです(ただし法規を考慮して、ピアッジオ・グループ・ジャパンはトータルでの最大積載量を60kgと公表)。
ジャイロ系がリアボックスを標準装備していないこと、ホンダが設定する最大積載量がフロント5kg/リア10kg(法規では30kgまでOK)という事実を考えれば、マイムーバーの積載性能は驚異的と言って良いでしょう。
それに加えて、フロント16インチ/リア12インチの大径タイヤ、3輪すべてに配置されたブレーキディスク+キャリパー、10.9psを発揮する排気量125ccクラスのエンジンなども、マイムーバーの特徴です(ジャイロ系は、タイヤがフロント10インチ/リア8インチ、ブレーキは機械式ドラム×3で、排気量50ccクラスのエンジンは最高出力4.6ps)。
こういった事実から推察すると、マイムーバーは運動性や快適性という面でも侮り難い資質を備えているのです。
しかし価格(消費税10%込み)の方は、「ジャイロX(ベーシック)」の40万4800円(スタンダードは42万67800円)、「ジャイロキャノピー」の57万900円を大幅に上回る、94万6000円です。
充実した装備を導入しているのだから、それはまあ当然……と言えなくはないですが、配達業務用スクーターとして考えるとなかなかの高額車です。
ピアッジオの配達業務用モデルと3輪車
さて、冒頭からジャイロ系との比較をメインに話を進めてしまいましたが、ピアッジオは昔から配達業務用モデルと3輪車に一家言を持っているメーカーで、そもそもホンダの動向はまったく意識していないような気がします。

ピアッジオ初の配達業務用3輪車は、1948年に登場した「APE(アペ)」(イタリア語でミツバチ)です。もっとも、当時の「ベスパ125」の車体後半を大改造して生まれた「APE」は、1950年になるとキャビンを追加し、日本で言うオート3輪的なスタイルになったので、2輪車の発展型というイメージは持ちづらいかもしれません。
では2輪車ならではの利便性を活かした、ピアッジオ初の配達業務用スクーターは何かと言うと、2001年から発売が始まった「Liberty Delivery(リバティ・デリバリー)」です。排気量125ccと50ccクラスが存在するこのスクーターモデルは、「APE」のような大改造車ではなく、あくまでも「リバティ」の小変更仕様で、現在でも欧州各国で販売が続くロングセラーになっています。

また、配達業務に特化した車両ではありませんが、フロント2輪/リア1輪という構成でスクーターの世界に革命を起こした、2006年以降の「MP3」シリーズも、ピアッジオならではのこだわりを存分に感じるモデルです。残念ながら現在の日本では販売されていませんが、ヨーロッパ市場では根強い人気を維持し、近年では排気量300cc、400cc、530ccのモデルがライナップしています。
ちなみに、初めてマイムーバーを見たときの私は、どうしてピアッジオらしさが濃厚な「MP3」をベースにしないんだろう? という疑問を抱きましたが、巨大なボックスの採用を考えると、装着位置は車体後部、タイヤはフロント1輪/リア2輪がベストだったのでしょう。















