ロイヤルエンフィールド「INT650」 日欧ネオクラシック系ツインとは似て非なる資質が魅力

わずか2500rpmで、最大トルクの約80%を発揮

 ここからはインプレ編で、まずは冒頭で述べた疑問の原因になった、他メーカーのネオクラシック系モデルの「排気量/最高出力/最大トルク」を以下に記します。

ロイヤルエンフィールド「INT650」(2023年型)に試乗する筆者(中村友彦)
ロイヤルエンフィールド「INT650」(2023年型)に試乗する筆者(中村友彦)

 市場でライバルになりそうな、ミドルツインを搭載する各車の数値を知れば、645cc/47.5ps/52.3Nmの「INT650」は不利では? と、多くの人が感じるのではないでしょうか。

●トライアンフ「スピードツイン900」900cc/65ps/65Nm
●モトグッツィ「V7ストーン」853cc/65.3ps/73Nm
●ドゥカティ「スクランブラーアイコン」803cc/73ps/65.2Nm
●カワサキ「W800」773cc/52ps/62Nm

 ところが実際に走らせてみると、「INT650」に非力な気配はありませんでした。グイグイと言うほど強烈ではないですが、2気筒らしい鼓動を発揮しながら、必要にして十分な加速を披露してくれます。

 その理由は、わずか2500rpmで最大トルクの約80%を発揮するからのようですが、現代の厳しい排出ガス・騒音規制に対応しながら、空冷の650ccツインで、こんなにも元気で心地良い特性が実現できるという事実は、賞賛に値すると言って良い思います。

 もっとも、ここぞという場面での速さは、排気量とパワーに勝るライバル勢に及びません。ただしその気になれば、最高速は170km/h前後に到達しそうですし、ライバル勢と一線を画する軽やかな吹け上がりは、エンジン内で摺動・回転するパーツの質量が小さい650ccならではでしょう。

 いずれにしても、スペックを重視しない、ネオクラシック系モデルに関心があるライダーなら、「INT650」のエンジンに物足りなさを感じることはないはずです。

「INT650」に非力な気配は無く、2気筒らしい鼓動を発揮しながら、必要にして十分な加速を披露してくれて、軽快なハンドリングが味わえる
「INT650」に非力な気配は無く、2気筒らしい鼓動を発揮しながら、必要にして十分な加速を披露してくれて、軽快なハンドリングが味わえる

 そして車体に関しても興味深い資質を備えていました。217kgの車重は特に軽くはないのですが、安定性より運動性を重視したように思えるディメンション、24度のキャスター角や1398mmの軸間距離が功を奏してか、同形式のエンジンを搭載するトライアンフ「スピードツイン900」や、カワサキ「W800」とは趣が異なる、軽快なハンドリングが味わえるのです(ただしクランク位相角は異なる。「スピードツイン900」は「INT650」と同じ270度だが、「W800」は360度)。

 以下に記すライバル勢の「キャスター角/軸間距離」と比較すれば、「INT650」の方向性が理解できるでしょう。

●トライアンフ「スピードツイン900」25度/1415mm
●モトグッツィ「V7ストーン」28度/1450mm
●ドゥカティ「スクランブラーアイコン」24度/1445mm
●カワサキ「W800」27度/1465mm

 さて、ライバル勢との比較が続きましたが、せっかくなので最後にもうひとつの要素を挙げると、「INT650」の価格は他メーカーのネオクラシック系ツインより明らかに安くなっています。

 2024年型では細部のキメ細かな仕様変更が行なわれ(基本構成やスペックは今回の試乗で使用した2023年型と同じ)、標準モデルが92万7100円から、新たに追加されたキャストホイール仕様が99万1100円からです。

 以下に記すライバル勢と比較すれば、「INT650」は相当にお買い得……と、誰もが感じるのではないでしょうか。

●トライアンフ「スピードツイン900」115万5000円から
●モトグッツィ「V7ストーン」137万5000円から
●ドゥカティ「スクランブラーアイコン」129万9000円
●カワサキ「W800」123万2000円

【画像】ロイヤルエンフィールド「INT650」(2023年型)を画像で見る(17枚)

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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