スポーツフィーリングを楽しめるハーレーダビッドソン「X500」 親しみやすさと扱いやすさで一切クセ無し!
扱いやすさの中に“個性”アリ
エンジンはスムーズにアイドリングします。最近の並列2気筒でトレンドと言えば、270度クランクがもたらす不等間隔爆発で、排気音、鼓動感をチューニングするというもの。そんな中、トラッドな360度クランクにより「X500」のエンジンは超絶スムーズな回転フィールをライダーに伝えます。

これはボア×ストローク比にもよるもので、「X」シリーズのエンジンは、ともにスポーティなフィーリングを重視したものです。国産ではカワサキ「W800」も同様に360度クランクを採用しますが、あちらはロングストロークで、あえて鼓動感やトルク感を低い回転から湧き出すようなフィーリングです。
しかし、です。走りだして驚きました。超絶扱いやすいのです。1速にシフトして半クラッチを当てると、ゴロリというしっかりと後輪の蹴り出しを感じながら発進。そのままアクセルを開けてもスムーズかつ力強さを伴って加速をします。
シフトアップすると、3速から6速まではかなりのクロースレシオであり、ファイナルのギアリングがローギアード仕立てなのか、それこそ40km/hで6速に入るほど。
このフレキシブルで扱いやすいエンジンで流すと、ラクチンの一言です。ツーリングでは余裕のカタマリ。その優しいエンジンに対し、少しリアのサスペンションはハードで、あまりストローク感がありません。その分、フロントタイヤに荷重を載せてスっと曲がることを得意ワザとしている車体のようです。それだけにワインディングではフロントタイヤに舵角が当たると身軽に方向を変え、それに呼応するようにアクセルを開けると、スムーズなエンジンが気持ち良い増速を楽しませてくれます。

装着されているマキシスのタイヤと車体のマッチングも、こうしたハンドリングに合わせているようで、ライダーの着座位置が高い印象のまま、スっと曲がる方向にバイクが寝て、フロントからしっかりと曲がり出す、というもの。雨の日、寒い日を考えると少しレスポンス鋭過ぎん? とも感じたものの、逆に個性としては面白いのです。
フロントブレーキはラジアルマウントの対向4ピストンキャリパーですが、タッチ、制動力ともに市街地や雨でも安心して扱えそうなもの。ディスクにいきなり食いつくような素振りは見せず、それでもしっかりと制動性能を発揮してくれます。またフロントサスペンションも、極太インナーチューブだけにパイプとシールの接触面が大きく、フリクションがあるのでは、と想像したものの意外とスムーズでした。
高いペースで移動してもさすが、余裕です。ギアリングがもう少しロング(ハイギアード)でもいいかな、と思いましたが、回転が上がる分、追い越し加速などはシフトダウンの必要性が無く、簡単に力強い加速を引き出せます。
豪快でワル、デカくて押し出しが強い。世界一強烈な個性を持つハーレーダビッドソン。その大音量の音楽にも似たブランドイメージからすれば、この「X500」はとても普通に思えるバイクかもしれません。
しかし乗るほどに滲み出すブランド力、まあ、各部の仕上げという点では上級モデルが持つ「どうだ!」という主張まではないけれど、ブランドという派閥間での戦い、シバリに会いたくないけど面白いバイクに乗りたい、という人にはオススメな1台でした。
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。






















