海から600kmも離れているのに!? 自転車と一緒に旅情溢れるフェリーに乗船【異国サイクリング】

タイ北部の秘境で、フェリーに自転車を載せてナーン川を渡る冒険的なライドを紹介します。漁村の穏やかな風景、筏のようなフェリー、厳しい山道……。海から遠く離れた内陸部での船旅は、心に残る体験となること間違いナシです。

水上の村「パークナーイ漁村」へ

 タイ北部、ナーン川の上流に位置するシリキットダムは、ナーン川を堰き止めることで、タイ最大の貯水湖を形成しています。このダムの上流に、小さな漁村「パークナーイ」があります。水面に浮かぶ筏の上に建てられた住居が特徴的で、建物は波に揺られています。

水上に浮いた家屋で形成されている「パークナーイ漁村」
水上に浮いた家屋で形成されている「パークナーイ漁村」

 漁村には、川を横断するためのフェリーの船着き場があり、筆者(才田直人)は自転車と共に渡ろうとフェリーに乗船しました。

 船着き場の隣には簡素な食堂と売店があります。地元の人々はここで食事をとったり、必要なものを買ったりして過ごしています。

 食堂の2階からは眺めも良く、村を一望できますが、高いところほど波の影響を受けて揺れます。筆者は酔いそうになったので、早々に1階に戻りました。

 漁村の人々はモーターボートを使って日常生活を営んでいます。その水上生活の様子を眺めていると、フェリーへの期待が膨らみます。

 パークナーイ漁村からナーン川を渡り、対岸のナームーンまでを結ぶフェリーは、まるで筏を少し大きくしたような素朴な船です。このフェリーにはクルマが4台乗るともういっぱいです。自転車の持ち込み料金は、乗船料を合わせて100バーツ(約500円)でした。

 このフェリーには時刻表がありません。ある程度の乗船客やクルマが集まると、船長の判断で出航します。そのため出発のタイミングは運次第、筆者は約1時間20分ほど待ちましたが、その間、漁村の穏やかな雰囲気を楽しみながら待つことができたので、それも良かったと思います。

 乗船客は、筆者以外すべてタイ人です。慣れた様子でくつろぐ地元の人もいれば、筆者と同じく写真撮影に夢中な観光客の姿もありました。特別な体験を求めて、この秘境に足を運ぶ人もいるようです。

待ち構える、過酷なルートに挑む

 フェリーの前後に待ち構えているのは、タイ北部ならではの過酷な山道です。このフェリーを楽しむルートは、ナーン県の町「ナーノーイ」から隣県ウタラディットの町「ナムパート」までの約95kmです。この区間での獲得標高は、なんと1900mに迫ります。

フェリーを下りた後も続く、ルート「1339」の強烈なアップダウン
フェリーを下りた後も続く、ルート「1339」の強烈なアップダウン

 北側の拠点となるナーノーイからフェリー乗り場まではルート「1026」を進み、川を渡った南側では「1339」に路線番号が変わります。いずれもアップダウンが激しく、脚力と体力、そして精神力が試される道のりです。

 とはいえ、厳しい道中ではありますが、広大な景色がその疲れを癒やしてくれます。日本では味わえない広々とした荒野や、南国特有の樹林帯の中をダイナミックに延びる道で、そんなタイ北部の山々を自転車で走り抜ける爽快感は、他では得難い体験です。

 海から600kmも離れたタイ北部の内陸部で、大河をフェリーで渡るという非日常的な体験。このライドは、旅の冒険心を大いに刺激してくれます。簡単に訪れることができる場所ではありませんが、それだけに「大冒険」と呼ぶにふさわしい特別な挑戦と言えるでしょう。

 自転車と共に秘境を駆け抜けるフェリーライド。厳しい道のりを乗り越えた先には、特別な達成感と旅の思い出が生まれること間違いナシ。いつかこのルートに挑んでみてはいかがでしょうか?

【画像】山奥で船旅!? その前後には過酷な道が……!!(15枚)

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Writer: 才田直人

1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。

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