電動バイクレース『MotoE』 2021年で3シーズン目を迎え注目と期待が高まる

MotoGPヨーロッパグランプリとの併催で、2021年で3シーズン目を迎える『MotoE』は、電動バイクのチャンピオンシップです。取材を続けるモータースポーツジャーナリスト伊藤英里さんが2021年の展望を解説します。

世界最高峰ロードレースにも電動バイクが!? 今から注目しておきたいMotoEとは

『MotoE(モト・イー)』は、MotoGPのプロモーターであるドルナスポーツによって新設され、2019年にスタートした電動バイクによる新しいチャンピオンシップです。

オーバーテイクの激しさは内燃機関のレースのそれと変わりない

 MotoGPのヨーロッパグランプリに併催の形で行われ、3シーズン目を迎える2021年シーズンはヨーロッパの開催地で6戦7レースが開催予定。マシンは引き続き、イタリアの電動バイクメーカー、エネルジカ・モーターカンパニーが供給するエゴ・コルセのワンメイクとなります。

 MotoEは、MotoGPなどとはレースの形式が少し違っているのも特徴です。たとえば「Eポール」と呼ばれる予選では、基本的にライダー1人ずつのワンラップアタック。そして決勝レースの周回数は、2020年シーズンを例に挙げるとだいたい5周から7周で設定されています。時間にして15分程度です。MotoGPが基本的に20周以上、45分ほどのレース時間で行われるのに対し、ずいぶん短いんですね。その大きな理由はご想像のとおり、バッテリー容量にあります。

 MotoEは「全ライダーが最終ラップまで全力で攻められるレース」、つまりバッテリーマネジメントを必要としないレースを目指しています。すべてのライダーが、最後までバッテリー残量を気にせずに攻めて走り切れる周回数が設定されているのです。

 それならば今後のテクノロジー向上とともに周回数も増えていくのだろうと、2020年7月、私(筆者:伊藤英里)はMotoEエグゼクティブディレクターであるニコラ・グベールさんにオンラインでインタビューを行ない、この質問を投げかけてみました。

 ところが、グベールさんの回答は現時点で「MotoGPのようなレース周回数は考えていない」でした。その理由にはMotoGPと併催のため、決勝日に時間を長くとれないこともあるのですが、もうひとつ。

 グベールさんによれば、若いファンはひとつのプログラムにあまり長く滞在しない、よって短い時間のレースは若いファンを惹きつけるのではないか、ということです。

2019年、2020年は12チーム18名のライダーが参戦したMotoE

 “超スプリントレース”は戦略的な温存よりも1周目からライダーが全力で攻めることが求められ、レースを通して激しいオーバーテイクが繰り広げられます。短く激しいレースであることが、若いファンにとって魅力になるのではないか、ということなのです。

 今の段階ではきっと、MotoEについて“MotoGPの電動版”という認識の方が大きいでしょうし、実際のところそういう印象が色濃いと思います。ただ、私はMotoEが、MotoGPのようなレースのおもしろさを持ちながら、“超スプリントレース”などをコンセプトとして、MotoGPとは少し違った新しい魅力を持ったレースとして進化していくことを期待しています。3シーズン目を迎え、チャンピオンシップとしてさらに成長していくことでしょう。楽しみですね。

 MotoEのEポールと決勝レースは、motogp.comの有料ビデオパスを購入することで視聴可能です。MotoGPとともに、黎明期を歩むMotoEという電動バイクレースに触れてみるのもおもしろいかもしれませんよ!

【了】

【画像】2021年モータースポーツは「MotoE」にも注目!!(3枚)

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Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

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