カワサキ「Z2」再生 なんだか遅い!? 試運転で見えた気になるポイント〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.2
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在なのがカワサキZ1/Z2シリーズです。長年、バイク仲間が所有し続けてきた1975年式を購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと言うのが、この企画になります。
試運転することで見えてくる「気になる」ポイント
「エンジンコンディションが、気になる……」といったお話しの真相に迫ると、その「気になる」と感じた人それぞれに、様々な「気になる」が存在します。

目視的な部分では、ヘッドカバーからエンジンオイルが滲んで「気が付くとエンジンが汚れてしまっている……」という悩みがあります。聴覚的な部分では「なんだかメカノイズが他人の同じモデルとは違って、カチカチ音が大きい気がして……」といった悩みもあります。
さらに一歩踏み込んでお話しを伺うと、アイドリング時にクランクケースの方から「コロン、コロンッ」といった音が聴こえるとか、ヘッドカバー内から「カチカチッ」と聞こえるとか、より具体的なメカノイズの「気になる」が、明確になります。
バイクの試運転に出掛けると、気になってしまうことが数多く出ることがあります。そのような「気になる」を「気にならない」にする手段として、様々なメンテナンスがあります。

このカワサキZ2に試乗した際にも、様々なことに気が付きました。メインキーをONにしてからチョークレバーを引き上げ、セルスターターボタンを軽くひと押しすることで、エンジンは難なく始動できました。
キルスイッチでエンジン停止して、キックアームを力強く蹴り降ろすことでも、難なく再始動可能でした。アイドリング音は至極静かで、一定のリズムを刻む快調なエンジンです。
クラッチレバーを握ってギヤをローへ入れ、通常走行で国道バイパスをひとっ走り!! バックミラーの振動がやや気になる程度で、走りは至って快調です。フル加速も試してみたところ、タコメーターの針がスムーズにレッドゾーンへ突入することも確認できました。同行をお願いした仲間から話しを聞くと「走行中やフル加速中でも、マフラーからは白煙や黒煙は出ず、4本マフラーらしいいい音が聞けたよ!!」との情報も得ることもできました。

おおむね車両コンディションは良好でした。単純に走る、試運転に出掛けるのではなく、様々な機能の動作確認も、同時に行うのが重要なことです。メインキーを回したときから、カチッと節度があってしっかり作動しているか? クラッチレバーを握る重さも重要だし、握ってからギヤをローへシフトするまでの間に、アイドリングやメカノイズに変化が無いか? などなども、しっかり確認するべきだと思います。

試運転で気が付いたひとつに、バックミラーのビビリ=微振動がありました。カワサキZ2タイプと呼ばれるミラーには、純正部品や社外部品にも様々なタイプがあります。純正部品のミラーには、ボディの内側に大きなウエイトが仕込まれていて、そのウエイトがバランサーの役割を果たして振動を打ち消し、走行中のバックミラーの微振動が、極力無くなる(完全には消えない!?)仕様に作られています。
サードパーティーの社外部品の中にも、純正部品と同様のミラーウエイトを備えた上質ミラーはありますが、多くのミラーがデザインのみを複製していて、ウエイトを装備していない商品が多いようです。おそらく試乗したZ2にも、そのようなバックミラーが装着されていたのだと思われます。たいしたことではありませんが、実際に走ってみないとわからないことは、数多くあるのです。
エンジンコンディションは機器測定でも判断できる
バイク屋さんからトランポにバイクを積み込み、自宅へ戻ってから初試乗しましたが、おおむね「グッドコンディション」だとわかってひと安心でした。バックミラーはそのうち交換すれば良いですが、もうひとつ気になったことがありました。それは「遅い……」ことでした。

当時のナナハンが現代のオーバーリッターモデルやスーパースポーツモデルと同じような走りをするはずが無いとは理解できますが、それでも遅く感じてしまいました。それでもZ2が良い!! ナナハンが良い!! と憧れるユーザーが多いのは理解していますが、70年代当時にZ2-A4型を所有し、それなりにチューニングして楽しんでいたぼくにとっては、このパワー感は何とかしたいものでした。

当時、先輩のタイガーZ2は、ヨシムラ860(69mmピストンキット)を組み込んでいて、そのトルク感は自分のナナハンとはまるで違っていました。また、バイクパーツショップで知り合った方が所有していたZ2-D1型は、モリワキチューンの1000ccエンジンが搭載され、ダイシン製の特注4イン1エキゾーストを装備したフルチューン仕様。試乗させていただくと、文字通り「ロードゴーイングレーサー」そのものだった記憶があります。
激しいチューニングを実践する気などさらさらありませんが、バランス良くパワーアップしたい、というか、トルクアップしたいのが、初試乗しながら、ぼくが妄想した唯一のことでした。この試乗で、エンジンに手を加えようと決意しましたが、その前に、現状エンジンのコンディションが、どの程度のものなのか「コンプレッションゲージ」で測定してみましたが……。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。









